「領内名勝図巻」(りょうないめいしょうずかん、熊本県指定重要文化財)は、熊本藩のお抱え絵師・矢野良勝(やのよしかつ、1760~1821)と衛藤良行(えとうよしゆき、1761~1823)が、おもに熊本領内の滝や名所、川沿いの風景などの絶景を全15巻にわたって描いた、写生図巻の先駆的作例です。巻物は縦30センチほどの大きさが一般的ですが、本作は約60センチあり、大迫力のパノラマが展開します。さらに全巻の合計は400メートルにも及び、これほどまで長大で迫力に富んだ作品は他に類が無く、日本最長の画巻とみられます。
描かせたのは絵画好きとして知られる8代藩主・細川斉茲(なりしげ、1759~1835)。風景を愛好する大名たちのサロンで披露することを目的に制作させたといわれています。絵師たちは苦労しながら絶景を実際に取材し、発色のよい良質な絵具を用いて斉茲の求めに応えました。
本展では、現存14巻のうちから選りすぐりの7巻をとおして、この規格外ともいえる本作の迫真の風景描写や制作背景を、現地写真とともに紹介します。豊かな水と緑をたたえる熊本の絶景を、旅人になった気分でお楽しみください。
■主な展示作品
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熊本県指定重要文化財
衛藤良行「領内名勝図巻 上益城郡矢部手永之内」(部分)
寛政5年(1793) 熊本県立美術館寄託
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熊本県指定重要文化財
矢野良勝「領内名勝図巻 阿蘇郡北里之内 杖立川路越之図」(部分)
寛政5年(1793) 熊本県立美術館寄託
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熊本県指定重要文化財
矢野良勝「領内名勝図巻 阿蘇郡菅尾手永之内」(部分)
寛政5年(1793) 熊本県立美術館寄託
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熊本県指定重要文化財
衛藤良行「領内名勝図巻 芦北郡田浦佐敷湯浦手永之内」(部分)
寛政5年(1793) 熊本県立美術館寄託
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谷文晁「東海道勝景図巻」(部分)
文化5年(1808)頃
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杉谷行直「富士登山図巻」(部分)
江戸時代(19世紀)
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※すべて永青文庫蔵
●初夏展 くまもとの絶景―知られざる日本最長画巻「領内名勝図巻」― |
入館料 |
一 般:1000円
シニア(70歳以上):800円
大学・高校生:500円
※中学生以下、障害者手帳をご提示の方及びその介助者(1名)は無料 |
開館時間 |
10:00~16:30 (入館は16:00まで) |
休館日 |
月曜日(ただし5/5は開館し、5/7は休館)
※状況により、臨時に休館や開館時間の短縮を行う場合がございます。最新の情報はX(旧Twitter)またはこちら(PC)(Mobile)にてお知らせします。
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